三河武臣くん(地御前小6年)剣道団体戦で全国大会優勝
令和5年9月17日、大阪のおおきにアリーナ舞洲で開かれたパナソニック杯第18回全日本都道府県対抗少年剣道優勝大会の団体戦で三河武臣くん(みかわたけおみ 地御前小学校6年生 剣志会)が優勝しました。剣道の団体戦は先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の5人で戦って勝敗数を競います。小学生の試合時間は2分間。時間内に先に2本取るか、終了の時点で1本を取っている方が勝ちで、どちらも1本を取っていなければ引き分けとなります。5人が戦って勝敗数が同じ場合は代表戦で団体戦の勝敗を決めます。三河くんは副将として団体戦を戦い、優勝しました。
三河くんは幼い時から剣道を始めました。ご両親、お祖父ちゃんから剣道を習ってきた筋金入りの剣士です。小学生になって試合に臨むようになった頃から、ずっと日本一を目指して稽古に励んでいます。週5日、稽古をしています。中学生、高校生、大学生、社会人になっても日本一を目指して剣道を続けてゆきたいと話します。こう書きだすと、如何に小学生と言えどもどこか近寄りがたいアスリートを想像してしまいますが、武臣くんはひと目見た印象も、話してみても、とても親しみやすくて礼儀正しい男の子です。
見たいテレビややりたいゲーム、友達と遊んだりを犠牲にすることもあったでしょうし、夏は胴衣で暑い上に、面をつけていて顔の汗を拭うこともできない。冬は氷のように冷たい体育館の床に裸足。稽古を続けてきて、辛かったことや嫌になったことがないか尋ねてみました。辛さはあったものの、それで剣道が嫌になったということは思い出せないとのことでした。
夜7時からの稽古に、小学生たちがやって来ました。誰もが体育館に入る前に立ち止まって一礼をしていました。胴衣を身につけると、正座で用意をしている先生のところへ行って1人ずつ正座をして礼(座礼)。稽古の始まりも一列に正座をし、座礼をしてから面を付けるといった手順で稽古が始まりました。8時半までの稽古では、途中に休憩を挟みながら、打ち込み、切り返し、技練(わざれん)、地稽古(じげいこ)、かかり稽古と段々とキツい稽古をします。竹刀が胴衣を打つ音、打ち込んだ時に床をドンと打つ足の音、気合いのこもった掛け声が体育館に響きます。お父さんと武臣くんの2人が下級生の相手を務めながら、自分の番にはお父さんを相手に武臣くんも稽古をしていました。稽古の最後には始めと同じように先生と生徒が向かい合って一列に正座をして黙想をします。そして座礼、上座に向きを変えて座礼、下座に向きを変えて座礼。稽古を終えました。
稽古の後に武臣くんのお母さんから全国大会の試合の様子を撮影した動画を見せてもらいました。稽古の時と全く同じ姿勢で戦っている武臣くんの姿を見て、同じ稽古を週5日続けて力をつけて来たことは、こういうことなんだなと思いました。剣道が心の鍛錬を重視した奥深いものであることを感じます。
剣道も今では全世界で220万人を擁するスポーツになっています。全国大会だけでなく、世界大会も開かれています。それでも全日本剣道連盟は「剣道が武道ではなくなる」という理由でオリンピック競技化に反対しています。勝利至上主義と一線を画し、武道で重要視される相手を尊重し礼節を重んじる武道の文化を守るためです。
私は、地御前地区自治会の運営会議に試合の報告に来てくれた時に初めて武臣くんに会い、郷土学習のために市民センター図書室に班でたまたま来ていた時や、地御前小学校創立150周年の特別授業の時に武臣くんに会いました。初めての事にも、いつもの事にも、変わらない態度で真面目に楽しく取り組んでいる姿が印象的でした。剣道でもきっと後輩剣士たちから尊敬される憧れの存在だと思います。これからどんどん取り巻く環境も変化してゆくと思いますが、怪我をせず、ますます成長して、世界に飛び出して行ってくれることがとても楽しみです。