秋祭りの夜
10月7日(土)の夜7時から地御前大歳神社境内で水内神楽団の神楽があった。田んぼの収穫作業を終えた後、豊作を神さまに感謝をして行う秋祭りの夜の神事芸能だ。自然・季節と、生活・労働とが、今よりも密接につながり合っていた、かつての日常を垣間見る貴重な伝統行事だと思う。竹に節目が必要なように、やはり生活にも節目はとても大切。季節をこんなふうに感じることもいい。それこそ意識をしないでいると自然の移ろいを味わう事なく毎日が過ぎてしまう。
出掛けに末娘に声をかけたところ意外にも「行く」と言ったので二人でのお出かけとなった。神社周辺は自転車置場もないのでジョギング(途中まで)で行くことに。。。陸上部の娘には太刀打ちできるはずもなく、娘の成長を実感しつつ、久しぶりに一緒に走れたのも楽しかった。
娘は日頃はもっぱら韓流アイドルグループを聴いたり踊ったりしているのだが、これまた意外にも神楽の舞いを見て「カッコいい」と言い、結局、「四方祓い」「滝夜叉姫」「恵比寿」「八岐大蛇」と最後まで一緒に神楽を見た。
神楽の音楽は、西洋音楽で言う1小節の頭がどこなのか、何分の何拍子なのかも分からないような、不思議な感じが独特だ。盆踊りの民謡も似ていて、西洋音楽の和声の感覚も全く当てはまらない。唄と篠笛と三味線の旋律は、調律は合ってる?というくらい西洋音楽的には合っていないと感じるのだが、長胴太鼓、締太鼓、手平鉦(小さいシンバルみたいなもの)のリズムに乗ると全体が調和して違和感がなくなるのも独特。娘もそのあたりに新しさを感じたのかもしれない。
「滝夜叉姫」のストーリーはこうだ。父:平将門の無念を晴らしたい一念から妖術を授かった五月姫が滝夜叉姫となり、朝廷が遣わした陰陽師:大宅中将光圀らが成敗するという話。神楽の演出も含めて何処か「鬼滅の刃」を彷彿とさせる。温故知新とよく言うが、新しいものにも実は、古くから共有、共感されてきたものの根っこが入っているからこそ広く受け入れられて注目を集めているということだと思う。
神楽奉納中の境内では、以前に小学校PTA役員をやった知人家族にも久々に会い、近況など歓談をしたりもした。当時は保育園児だった今の娘を見たときの知人の反応は、まるで実の親戚のおばちゃんのような喜びようだったのも楽しくて、嬉しかった。きっと昔の秋祭りの夜も、まるで親戚が集まった宴会のような感じだったのではないかと思った。とても楽しい秋祭りの夜となった。